誰もが自分だけのお城を持つ。
ただ、誰もが互いのお城の全様を知らない。
異なる特性を持つ登場人物が、自らを表現し、互いを理解しようと模索する
健常 と 障がい そして 日本 と ドイツ
「私の城」
ドイツのヴッパタールとデュッセルドルフの自閉症協会は、設立40周年を迎える記念のプロジェクトとしてダンスシアター*の主催を行う事を決め、コレオグラファーには、ピナ・バウシュ ブッパタール舞踊団の元ソロダンサーであるジャン・ローラン・サスポータス氏を迎えました。ジャンは1年以上の時間を掛けて、私たちの自閉症者入院施設で彼らの動作や行動を観察し、理解を深めていきました。そして、近しいビジョンを持つ、ピナ・バウシュ舞踊団の元ダンサーや、音楽家・作曲家の齋藤徹を初めとした日本の素晴らしいアーティストが参加し、本プロジェクトのアーティストチームが誕生しました。この作品は、自閉症者の特徴的なジェスチャーや動作などからヒントを得て創作され、異なる特性や見えにくい部分などを表現しながら、自閉症についての理解をより深めることを目的としています。ダンサー達の仕草や動作、音楽によって、自閉症というこの世界を今までにない視点で捉えることを可能にし、その異なる特性への理解は、双方の橋渡しにも繋がり、それは教訓的な側面をも越え、多くの人に訴えかけるでしょう。2016年の初演から、2017年、2018年にドイツ(ケルン、ボン、ブッパータール)で行われ、客席は常に満席で上演されました。コロナ渦中の度重なるキャンセルを経てこの夏、ベルリン、ヴッパータール、そして東京で上演できることはチーム全員にとって大きな名誉と喜びです。
ステファニー・ロース
プローデューサー(ドイツ)/コンセプション
The association Autismus Wuppertal / Düsseldorf-Bergisches Land e. V.
*ダンスシアター:ピナ・バウシュに代表されるダンスと演劇の境界線を取り払った舞台芸術
■プロフィール
ジャン・サスポータス Jean Sasportes(演出・振付)
1952年カサブランカ(モロッコ)生まれ。マルセイユで数学、物理学、哲学を学ぶ。パリでモダンダンスを始め、ダンサーとダンス教師のディプロマを取得。1979年、ヴッパータールのピナ・バウシュ・カンパニーのソロダンサーとして活動を開始。世界中の劇場で踊り続け、ピナの代表作「カフェ・ミュラー」は以来35年400回を越える。1997年から2017年までゲストソリストとしてレパートリー作品に出演。
1989年以降、多くの音楽家とダンスと即興演奏のコラボレーションを展開している。作曲家でコントラバス奏者の齋藤徹と出会い、コラボレーションによるデュオ作品を日本全国15以上の都市で発表。彼と共にヨーロッパと日本のアーティストとの文化交流のプラットフォームを構築する。
1998年以降、ヨーロッパと日本に於いて多くの振付作品を発表する。代表作は「Looking for Kenji」、「うたをさがしてオペリータ」「私の城」「Am Anfang war das Chaos」。「カフェ・アダ・ダンスシアター」主宰。オペラの演出・振付も行う。また、俳優としても多くの映画に出演する。ペドロ・アルモドバル監督作品「トークトゥーハー」(アカデミー賞受賞)では「世界で一番哀しい顔の男」と評される。
1985年より合気道から派生した「気の道」を学び、ヴッパータールにある自身の道場で指導を行っている。2000年よりプロのダンサーからハンディキャップのある人まで、世界中のあらゆる人にフロアロア&スタンディング・ボディワークを指導する。
皆藤千香子 Chikako Kaido (ダンス)
ドイツ在住の振付家、ダンサー。日本女子大学人間社会学部文化学科、ドイツ、フォルクヴァング芸術大学ダンス科、大学院振付家コース卒。フォルクヴァングタンツストゥーディオ(ピナ・バウシュ、ロドルフォ・レオーニ 主宰)のダンサー、振付家を経て、2010年より主にドイツ、デュッセルドルフにおいて活動中。横浜ダンスコレクションMasdanza賞、2009,2012年、クルト・ヨース賞ノミネート、 Masdanza グループ部門2位、ソロ部門審査員賞など。大学時代からヨーロッパ各地のダンスフェスティバル、日本、韓国で作品を上演。クラシックバレエ、モダンダンス、舞踏に影響を受けた身体表現とピナ・バウシュ的なダンスシアターの手法を使いながら、独自の表現を追求する。
ソフィア・オットー Sophia Otto(ダンス)
ドイツのヴッパータール生まれ。2010年から2012年にかけてピナバウシュ作品「Kontakthof」のジュニアキャストに参加後、ケルンのZentrum für Zeitgenössischen TanzとエッセンのFolkwang University of Artsでコンテンポラリーダンスを学び、2018年夏に学士号を取得 。Thusnelda Mercy、Giorgia Madamma、Rodolpho Leoni、Daniel Goldin、Jean-LaurentSasportesなどのさまざまな振付家作品に参加。 2017年にケルンを拠点とするKrux-Kollektivが設立され、振付のアシスタントを務め、2019年にその最初の作品「Der Zwang」がKunstsalontheaterpriceを受賞。
ファリス・サレー Faris Saleh(俳優)
パレスチナ出身。フィジカル・シアター・アーティスト、写真家、ビデオ・アーティスト。2014年にDrama Academy Ramallahを俳優として卒業し、2017年から2021年までエッセンのFolkwang University of Artsでフィジカルシアターを学び、留学生優秀賞であるDAAD賞とフォルクワング演劇賞をダブル受賞する。
パフォーマー、ディレクター、フォトグラファーとして、舞台と映画、フィルム、テレビの両方で様々な多分野のプロジェクトに取り組んでいる。パフォーマーとしては、国際舞台で受賞作品のツアーを行っている。2020年には、自身初の短編映画「Surrah」でチューリッヒのパレスチナ芸術映画祭に招待された。
深堀絵梨 Eri Fukahori(ダンス)
HOLIDAYS主宰。劇団東京乾電池所属。演出家、振付家、ダンサー、役者。幼少より踊りはじめ、クラシックバレエ、コンテンポラリーダンスを学び、交通事故をきっかけに演劇へ足を踏み入れる。2008年に劇団東京乾電池へ入団後、座長柄本明の演出を始めとする乾電池公演へ多数出演し、演出も手がける。2011年に音楽、照明、映像、空間デザインを担当するメンバーと共に、パフォーマンスグループ「HOLIDAYS」を結成。自身のコンテンポラリーダンサーとしての経験と東京乾電池での不条理演劇に携わってきた経験から、芝居とダンスを織り交ぜた作品を発表する。第8回せんがわ劇場演劇コンクール演出家賞受賞。
喜多直毅Naoki Kita(ヴァイオリン/音楽監督)
国立音楽大学卒業。英国にて作編曲、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。近年は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。2011年に喜多直毅Quartetteを開始。出自であるタンゴと様々な音楽要素の融合により独自の世界を作り出している。またQuartetteと同時にタンゴ四重奏団も編成し、こちらではオリジナル編曲を施したタンゴのスタンダードを演奏している。欧州での演奏も頻繁に行う。ダンスや邦楽奏者との共演も数多く、越境するヴァイオリニストとして注目を集めている。
田辺和弘 Kazuhiro Tanabe(コントラバス)
クラシック、アルゼンチンタンゴ、即興演奏などで活動するベーシスト。在学中からタンゴと出会い、日本はもとよりアルゼンチンの若手からタンゴ全盛時代のミュージシャンとも多く共演している。その後故齋藤徹氏と出会い共演をきっかけに音楽演奏での即興性を学び、様々なジャンルでも即興的なアプローチを試みている。現在では喜多直毅クアルテットやベーストリオThe Bass Collectiveの他、様々なタンゴバンドに継続的に参加しつつ、ジャンルに関係なくその音楽自体の持つエネルギーを表現するべく模索、活動している。
マクイーン時田 深山 Miyama McQueen-Tokita (十七絃箏)
即興、現代音楽、オリジナル曲を中心に活動する、オーストラリア生まれの箏奏者。現代人が面白い、聴きたいと思える音楽を箏で作るという考えで独自の方向を目指し、その自然体で豊かな表現は定評を得ている。世界中から来日する海外アーティストとの共演に加え、海外フェスティバルでの招聘演奏も数多い。共演している団体にはVancouver Intercultural Orchestra、Australian Art Orchestra、日本フィルハーモニー交響楽団等。また新世代作曲家と協力し、これまでにない箏の音楽を作り上げようと前進する。2019年にはACCのグランティとしてニューヨークに滞在し、現代音楽と即興に関わる。2020年に欧・米・豪・日の作曲家作品を収録したソロアルバム"SONOBE"をリリース。小田村さつき、沢井一恵に師事。
熊坂路得子Rutsuko Kumasaka(アコーディオン)
埼玉県さいたま市(旧浦和市)生まれ。6歳よりピアノをはじめ、師の演奏に魅せられ、18歳でアコーディオンと出会った。女子美術大学短期大学部在学中、学校行事や個展等で演奏を始める。現在ではソロ演奏から、ジャンルを超えて様々なミュージシャン、画家、俳優、詩人等とのセッションを展開。映画やCM、芝居、舞台の音楽に携わり、精力的に演奏活動を続けている。尚、2017年には、初めての個展を開催。自身の参加するユニットでのアルバムを全国リリース。2009年渡仏。2014年カンボジア王国、中学校開校式にて演奏。
■日時
8月29日(月)19時〜 ※終演後アフタートーク有
8月30日(火)19時〜
(受付・開場は開演の30分前、上演時間1時間)
演出・振付:ジャン・サスポータス
出演: 皆藤千香子、ソフィア・オットー、ファリス・サレー、深堀絵梨
喜多直毅(ヴァイオリン)、熊坂路得子(アコーディオン)、田辺和弘(コントラバス)、マクイーン時田深山(十七絃箏)
作曲:齋藤徹
音楽監督:喜多直毅
映像制作:ヨルゲ・ザラテ
振付アシスタント:ベネディクト・ピリエ
舞台監督:廣瀬正仁
照明:宮崎絵美子
音響:(株)サウンドプロジェクトムジカ木内琉
宣伝美術:辻統太
記録映像:近藤真左典
制作:木寺美由紀 齋藤真妃 高橋美幸
コンセプション・オーガナニゼーション(ドイツ):ジャン・サスポータス ステファニー・ロース
The association Autismus Wuppertal / Düsseldorf-Bergisches Land e. V.
主催:HOLIDAYS
協力:いずるば 株式会社エスコアール
提携:シアターXカイ
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
■場所
JR総武線両国駅西口下車、左へ徒歩約3分
都営地下鉄大江戸線両国駅A4・A5出口徒歩約8分
〒130-0026 東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア1階
TEL:03-5624-1181
http://www.theaterx.jp/access.php
<チケット>(全席自由席)
前売 一般4,000円、学生・障害者割引 2,500円(当日、学生証、障害者手帳をお持ちください)
当日 4,500円
発売開始 7月3日(日)10:00
■ワークショップ
8月30日(火) 13:00-15:30 ダンスワークショップ
講師:ジャン・サスポータス、ベネディクト・ビリエ
ピナ・バウシュ ブッパタール舞踊団で長年ソロダンサーとして活躍したジャン・サスポータスとベネディクト・ビリエによるコンテンポラリーダンスワークショップ。ストレッチから始まり、振付や動きの発見を劇場の舞台上で体験できます。
受講料 3000円(公演チケットをお持ちの方1,000円引き)
会場:シアターXカイ

