アンサンブル・コンテンポラリーαは、東京を拠点に活動し、20世紀以降の音楽を専門とする現代音楽の室内アンサンブル。17名の演奏メンバーと11名の作曲メンバーによって構成される。作曲メンバーが、アンサンブルの運営とプログラミングを手がけ、演奏メンバーとの密接な共同作業のもと活動を展開している。1997年の発足以来これまで演奏した作品は二百数十曲に及び、作曲メンバーの作品だけでなく、世界各国のさまざまな作曲家たちの作品を取り上げて来た。演奏メンバーのリサイタル公演とアンサンブル公演による活動は各方面より好評を得ている。海外では、韓国女性作曲家協会主催コンサート(2007年、ソウル)、テグ国際現代音楽祭(2010年・2013年)、ソウル・コンピュータ音楽祭(2013年)、韓国ACL音楽祭(2017年、ソウル)に招待され演奏している。
今回の定期公演では、北爪裕道のプロデュースにより、器楽と電子音響、映像、照明、身体表現などの多様なメディアが 様々に融合されたミクストメディア音楽作品を取り上げる。現代フランスを代表するこの分野の第一人者、ピエール・ジョドロフスキによる《Vanitas ( 虚 栄 )》は 、 楽器だけでなくテーブルなども用いながら、奏者の動作や演奏が映像と密接に連動し、その名の通り現実と虚構の境界を揺るがす大作。大規模かつ綿密な準備を経て挑む。 ドイツの作曲家アレクサンダー・シューベルトは、劇場出身のキャリアを生かし、照明や舞台表現を融合させたユニークな音楽作品を創り続けている。その代表作の一つ《Sensate Focus》では、アグレッシブな照明演出と音響が 奏者のジェスチャーと緊密に結びつき、視聴覚が一体化した没入的な空間を生み出す。 北爪裕道の《自動演奏楽器群によるプレリュード》は、会場中に設置された多数の自作自動演奏楽器が連動し、アコースティックな演奏音が光を伴って空間を駆け巡る、新しい音響体験を生み出す作品である。さらに今回、公募により世界各地から寄せられた多数の作品の中から2作品を選出。ひとつは仙台在住の作曲家・アーティスト、大久保雅基による新作。2人の奏者と自動演奏ピアノが、舞台上に映像として映し出されたゲームで渡り合う《Musical Squash Game》。 もうひとつは、ポルトガルの著名な作曲家ジョアン・ペドロ・オリヴェイラによる《for M》。いずれも上演機会が極めて貴重で、またライブでその空間を体験してこそ意味を持つ作品ばかり。この機会をぜひお見逃しなく!