私たちはどこから来て、どこに行くのか。生きる意味とは何なのか。
幕が上がるとレール上にSLが乗った人力発電遊園地に、段ボール胴体の人形型演者たちが静止しているのが目に入る。青い服を着た花道の宇宙人が、LED光り棒をオケピットの指揮者に一振りすると、モーツァルトの「フィガロの結婚」の序曲が鳴り響き、同時に、舞台上の人形型演者が誰かに操られているように、カタコトとぎこちなく動きを始める。
宇宙に無尽蔵に存在する水素エネルギーを自在に駆使する300万光年かなたの脱炭素社会あおいろ星。気候変動と戦争に苦しむ地球人の危機シグナルをキャッチした星人の若者アオヒトが、時空ワープ機エアロバイクに乗って地球に舞い降りる。地球の破滅は宇宙破滅の引き金になることを知ったアオヒトは、「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」ー哲学的とも言えるこの問いの答えを「フィガロの結婚」のテーマ「愛」に求め、「愛」をオルゴール箱に封じ込めた究極のSDGsオペラの制作を試みる。
ユーチューブで、舞台に設営する人力発電遊園地のSLに乗った演者になった気分を味わえます。足こぎをするのは合唱チームの役割になりますが、舞台上では足こぎ音が歌の邪魔をするので、舞台袖で操作する電力による走行です。