雑誌『母の友』で2020年から5年にわたって続けてきた連載をまとめたエッセイ集『かずをはぐくむ』が福音館書店から4月11日に発売されます。
時計を読むこと、長さを測ること、予定を立てること、計算すること……私たちの生活はいつも数にいろどられています。しかし、数にたどりつくまでの道のりは長い。
読めない時計の針の動きが不思議だったこと、メジャーで何でも長さを測ってワクワクしたこと、百まで自力で数えられて嬉しかったこと、たし算ができるようになって誇らしかったこと……そんな時間もあっという間に過ぎ去ってしまって、数がわかるまでにどれほど多くの学びと驚きがあったか、私たちはいつしか忘れてしまいます。
子どもたちの存在は、また思い出させてくれます。
わからなかったことがわかるようになる、数のない世界が数のある世界に変わる、その道程がいかに新鮮な驚きに満ちていたか、子どもたちの歩みがまた教えてくれます。
連載を始めたとき3歳と0歳だった私の息子たちはいま、それぞれ8歳と5歳になりました。彼らとともに歩んできた時間はもう戻ってこないけれど、この日々にめぐりあえた一つひとつの風景を、また読者と分かち合えることを嬉しく思っています。
数のない世界から、数にいろどられた世界へ——だれもが一度は通ったことがあるはずのこの道を、ふたたび歩んでいく新鮮な喜びをみなさんとぜひ分かち合えたらと思います。
今回のトークライブでは、本書刊行後の第一声として、本書をより一層楽しんでもらうための書籍も紹介しながら、「かず」がわかるようになっていくことの喜びと不思議について、とことんみなさんとともに考え、感じる時間にできたらと思います。
親子での参加も歓迎です。どうか気軽にご参加ください。
当日の出会いを心から楽しみにしています。
森田真生

