「私と小鳥と鈴と」「こだまでしょうか」「星とたんぽぽ」̶̶童謡詩人金子みすゞの作品は、子どもから大人まで、たくさんの人に知られています。しかし、約40年前までは、ほとんど知られることのない存在でした。
1982年6月20日、矢崎節夫は16年におよぶ金子みすゞを探す旅の末、実弟上山雅輔から、3冊の遺稿手帳を受けとり、1984年『金子みすゞ全集』(JULA出版局)として出版しました。みすゞの甦りと広がりはここから始まったのです。
一龍斎春水は、みすゞの童謡や矢崎の書いたみすゞの評伝に感動し、2007年より、自身の手による新作講談「金子みすゞ伝」を読みつづけています。
この講談を、そしてみすゞさんの精神を、未来に手渡していきたい――手帳が託された6月に毎年「金子みすゞ伝」を読み、みすゞさんを語る仲間を増やしていこう。
『金子みすゞ全集』発行40周年の今年は、その頃からみすゞの詩に曲をつけて歌いつづけるシンガーソングライター・吉岡しげ美を迎え、講談と音楽のコラボレーションをお楽しみいただきます。
〈出演者プロフィール〉
一龍斎春水●いちりゅうさい・はるみ
北海道生まれ、神奈川県藤沢市出身。声優・麻上洋子として、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」森雪役、「銀河鉄道999」ガラスのクレア役などで知られるほか、海外作品の吹き替えやナレーションなどで活躍。1992年、講談師六代目一龍斎貞水に入門、2004年真打昇進。2012年からは、声優としての芸名「麻上洋子」を「一龍斎春水」に改名した。古典作品に加え、「金子みすゞ」「中村久子」「樋口一葉」など女性の一生を新作講談として意欲的に創作、口演している。
吉岡しげ美●よしおか・しげ美
1977年より「音楽詩」の活動を始める。与謝野晶子、茨木のり子など日本の女性詩人の詩や短歌、84年より金子みすゞの詩に、その後『万葉集』『枕草子』『百人一首』にも作曲しピアノの弾き語りを続けている。出会った詩人・歌人30人以上、600曲以上の作曲作品がある。アメリカ各地、アジア、ヨーロッパ等海外でも積極的にコンサート活動を行う。ほかに演劇、ミュージカル、放送番組、映画などの音楽を多数担当。子どものうた、合唱曲、大学学歌の作曲も多く手がける。「金子みすゞの世界」ほかCD、著書多数。
オフィシャルホームページ:http://shigemin.net
矢崎節夫●やざき・せつお
1947年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。佐藤義美、まど・みちおに師事し、童謡・童話の世界で活躍。1982年、童話集『ほしとそらのしたで』(フレーベル館)で第12回赤い鳥文学賞を受賞する。また、童謡詩人金子みすゞの埋もれていた遺稿を見つけだし『金子みすゞ全集』(JULA出版局)として出版、以後その作品を世に伝える。1993年には『童謡詩人金子みすゞの生涯』(JULA出版局)を上梓、知られていなかったみすゞの全容を明らかにした。2003年より「金子みすゞ記念館」館長。