生まれ育った熊本に移り住み、畑をはじめ、元気なときもまた鬱で苦しいときも、ともにある家族との日々。いのっちの電話、さまざまな土地や人との出会いのなかで、ひとを助けることで自分が助けられていたこと、ともに生きる喜びが語られたエッセイ49篇と、半年にわたる長い鬱の果てに、あらたに至った境地が書き下ろされた「あとがき」(1万字超!)からなる、坂口恭平さんの新作エッセイ集『その日暮らし』がこのたび、刊行されます。
鬱による自己否定が止まらない理由は、これまでずっと自らのなかにある「寂しさ」から目をそむけてきたからだと気づいたことで、はじめて自分を信頼できるようになった今、坂口さんの新章がまた始まろうとしているこのときをぜひ会場でともに感じていただけたら、うれしいです。きっと帰り道はちょっと元気になっているんじゃないか、と思います。