【プロローグ】
平成の世が終わりを告げ、新しい時代が幕を開けようとしている今、
ここにもまた、新たな旗を掲げようとしている女たちがいた。
いかなる時も全心全力体当たり、全力で歌い、全力で舞い、観客を魅了してきた女たちが、
今度はマイクを刀に持ち替えて、曲がった世の中をバッタバッタと斬りながら、
新たな時代を縦横無尽に駆け抜けていく。
彼女たちの名は、女剣劇『劇団・全力少女R』。
※女剣劇とは…大正末期から昭和へかけて全国的に流行した、女性が男役を主演する剣劇。
【あらすじ】
時は幕末。清水のみなと。
海道一の大親分と名を轟かせた清水次郎長(しみずのじろちょう)一家!とはほど遠い、弱小貧乏一家があった。その名も『志水二郎一家』。子分はたったの2人。
義理と人情は大事だが、こんな世の中急いで死ぬこたぁないと、無駄な喧嘩を避けながら、今日も平和に生きていた。そんなある日、一人の娘が助けを求めて駆け込んでくる。
無実の罪を着せられ自害した、父親の仇を討ちたいと。狙うは次郎長、最大の宿敵、黒駒の勝蔵!?どうやらこの娘…清水次郎長一家と間違えていたのだった。
名を上げたい子分たちは助太刀を引き受けてしまい、偽次郎長一家の仇討ちの旅は始まる。果たして二郎一家は、生きて清水に帰れるのか!?