小川公代と宇野常寛は、一見まったく異なるものについて論じています。しかし両者に通底するのは近現代の情報社会や資本主義の中で、どう人間性を回復するのかという問題意識です。言い換えればそれは情報技術に人間が「生かされている」時代をどう乗り越えるかという問題でもあります。『メアリ・シェリー』と『庭の話』。このセッションでは二冊の本を往復しながら、この巨大な問いの答えを出すのではなく、考える手がかりを対話の中で探したいと考えています。二人のアプローチの違いが、予想外の結果を生むのではないか……そんな小さな奇跡を期待したいと思います。