何でもない男の、世界から忘れられていくような、吹けば飛ぶような男の歴史絵巻。
人は、慣れていく。
あんなに楽しかった出来事も、あんなに嬉しかった経験も、人生を歩むうちに、同じ体験では当時ほど感情が揺さぶられなくなっていることに気付く。初めて食べたときに感動した味を求めて、思い出の店で思い出のメニューを食べても、同じ感動を得られないように。苦しかったことや辛かったことはふいに思い出されて一生自分に付きまとってくるくせに、良かったことには簡単に慣れていく。ただ、記憶だけは残っている。
人は、離れていく。
あんなに親密だった人も、愛を誓い合った人も、簡単に(時には煩雑に)どこかへ行ってしまう。性格や相性やすれ違いや、環境の問題や運の悪い事件、様々な理由で、あるいは理由もなく、ただなんとなく、疎遠になっていく。だから、人はいつか自分から離れていくことを前提に、人と付き合う。楽しい関係も、辛い関係も、いつかは離れるんだよなあ、と思いながら。気付いたら誰もいなくなっていた。
みんな離れていってしまった。ひょっとすると、自分から距離を置いてきたのかもしれない。ただ、記憶だけは残っている。
その男の人生は、確かに何でもない。ただ、記憶だけはあった。すべて、あった。
シェアオフィスのオーナーでサヴァン症候群の男と、彼の築いた場所を通過していった幾人かを、モアレ縞のように描く群像劇。
脚本・演出:古川貴義
【STAFF】
舞台美術:稲田美智子
照明:瀬戸あずさ(balance,inc.DESIGN)
音響:岡田 悠(One-Space)
舞台監督:渡邊歩(株式会社RESON)
記録写真:鏡田伸幸
制作:松本悠(青春事情)
企画製作:箱庭円舞曲
協力:イマジネイション ウィーズカンパニー オフィスモノリス クリオネ 東宝芸能 fringe 浅草九劇
助成:芸術文化振興基金
【日程】
2022年
10月19日(水) 19:30★
10月20日(木) 14:00/19:30
10月21日(金) 15:00
10月22日(土) 14:00/18:30
10月23日(日) 14:00
★...10/19(水)にご来場のお客様に、初日特典の粗品を進呈します。
**受付開始・開場は開演40分前です。
【会場】
浅草九劇
東京メトロ銀座線 「浅草駅」 1番出口より徒歩10分
都営浅草線 「浅草駅」 A4番出口より徒歩10分
首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス 「浅草駅」 A1番出口より徒歩5分
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