アイルランドのハープ奏者トリーナ·マーシャルは、クラシックとアイルランド伝統音楽の深いルーツに基づいた、独自の表現豊かな演奏スタイルで注目を集めてきました。ダブリンのRTÉコンサート・オーケストラの首席ハープ奏者を務めた後、伝説的なアイルランド音楽グループ「ザ・チーフタンズ」のメンバーとして世界中を巡り、数々の舞台で演奏を重ねてきました。
今回の来日公演は、トリーナにとって初めてのソロ公演となります。
美しいハープの音色を、時空を超えて感情と文化を語る「声」として体験いただければ幸いです。
**トリーナ・マーシャルTriona Marshal プロフィール**
アイルランドのポートリーシュ出身。7歳でアイリッシュ・ハープを始め、11歳でコンサート・ハープに転向。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックとデン・ハーグのコンセルバトリウムで学ぶ。RTÉコンサート・オーケストラの首席ハープ奏者担当。2003年より「ザ・チーフタンズ」のメンバーとして、世界中のトップ・アーティストたちと共演。現在、ソロ活動と並行して、シンガーのアリス・マコーマック、アコーディオン奏者で作曲家のマーティン・トゥーリッシュとのデュオ・プロジェクトにも取り組む。
“spontaneous...full of rhythmical vitality...impeccable” – The Irish Times
「のびやかで…躍動するリズムに満ち…非の打ち所がない」ーアイリッシュ・タイムズ紙
“…rejuvenated by minutely nuanced phrasing, supple yet exact articulation … boldly hued, artfully syncopated…” – The Scotsman
「…繊細な表現で命を吹き込み、しなやかでありながら緻密な音づかい…鮮やかな音の彩り、巧みにずらされた拍の妙….」ースコッツマン紙
**アイリッシュ・ハープについて**
アイリッシュ・ハープは、ヨーロッパで最も古い弦楽器のひとつであり、その歴史は千年以上前にさかのぼります。古代アイルランドでは、ハープ奏者は『語り部(バード)』として尊敬を集めていました。彼らは語りと詩とが一体となった芸術によって、物語や歴史、英雄の名声、土地にまつわる伝説を詩と音楽によって後世に伝えてきました。しかし、イングランドの植民地支配により、バードの伝統は意図的に解体され、18世紀には消滅の危機に瀕します。「抑圧された文化」の象徴となったハープですが、それでも完全に途絶えることなく、人々の記憶、国の象徴、復興への願いの中に生き続けました。今日、ハープはアイルランド共和国の国章にもなっており、演奏会はもとより家庭や祭り、祈りの場でも奏でられています。近年では、トリーナ・マーシャルのような演奏家たちが伝統的なハープに新たな物語性を吹き込み、多くの聴衆の心の奥に語りかけています。本ツアーでは、ハープが2つの文化を結ぶ架け橋となり、失われた語りの伝統を響かせながら、新たな表現の可能性を開くことを願っています。