楽園を失い、アートは生まれた。
旧約聖書によると、神がエデンの園にアダムとイブや様々な生き物を創造した。その楽園はとても美しく、十分な食べ物もあり、神の支配の元、アダム達は苦悩や幸福、美しいという観念さえ持たなかった。
神に寵愛された人間を妬んだサタンがアダムとイブを誘惑し、知恵の樹に成る禁断の果実を食べさせた。自由意思と自我に目覚めた彼らは楽園を失った。
どんなに美しい楽園もそれを美しいと感じる感情がなければ、地獄のような光景もそれを惨いと思う感情がなければ、それらの世界は無に等しい。
現代では社会的モラルや倫理の支配の元に表現も規制され、心の自由も知らず奪われている。そんな人々の自由意思を呼び覚ます禁断の果実にも似た、感情を生み出す装置,それがアートではないだろうか。
この「Paradise Lost」という展覧会が多くの人々の心に自由さと様々な感情を提供することが出来れば幸いである。(髙木智広)
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本展では「Paradise Lost~楽園の喪失~」をテーマとし、これまで様々な作品が生み出されてきた最も有名な叙事詩、ジョン・ミルトンによる『失楽園』の新たな扉を開きます。
油彩画、水彩画、立体作品、写真作品など国内外10名の作家によるドラスティックな作品が集結いたします。
現代の表現規制の中で知らず知らずのうちに奪われつつある人々の自由意志を呼び覚ます、禁断の果実のような魅惑の作品群にご期待ください。
●出展作家
愛実、池谷友秀、Gorgeoushell Dalid、櫻井結祈子、スズキエイミ、髙木智広、たま、所伸一、林美登利、冷墨清志