歌うことが怖かったりもしたんです｡
自分たちが
やってきたことの
最大限で表現しようと挑んだ｢サンサーラ｣

──最後の「サンサーラ」は、フジテレビ『ザ・ノンフィクション』の7代目歌唱アーティストとして挑んだ曲になりますね。

陽吾　この曲が決まったのは、番組のプロデューサーさんが、たまたま俺らのライブを見にきてくれたことがきっかけだったんです。ライブを見て、「次はこいつらだな」と思ったらしくて。その日に「歌ってくれない？」って言われたんですよ。

──そんなノリで？(笑)

陽吾　本当にそういう感じでした(笑)。だから、冗談かと思ってたんですけど。後日フジテレビに行って、正式に伝えられて。若い人に歌い継いでもらいたいっていう想いがあったみたいなんですよね。俺らはずっとカバーやってきたから、ある意味、原点でもあるので、「ぜひお願いします」っていう感じでした。

──実際に歌ってみて、どうでしたか？

陽吾　難しかったです。いろいろな人の歌ってきた曲だけど、二声で表現するのは初めてだったんです。だから、コーラスとかハモリのラインを十数パターン用意して、全部試していきましたね。

──楽曲のテーマが命の連鎖を思わせる内容で、かなり壮大なテーマではあるけど、背伸びをせず、すごく等身大なふたりのままで向き合ってますよね。

理幹　まさに20代の自分たちが歌うには、どうしても軽くなってしまうなって、僕らも思ったんです。まだまだ人生経験が足りないから、歌うことが怖かったりもしたんです。だけど、せっかくこういう話をもらったから、「いま自分たちができることは何だろう？」って見つめなおしたときに、この詞の世界に合わせて、重みのあるアレンジとかコーラスワークで表現するよりも、自分たちがやってきたことの最大限で表現しようと思ったんです。

──そこにも、今回のシングルで向き合った課題が貫かれてる。

理幹　そうですね。だから、いままで僕らの曲のアレンジをいちばん一緒にやってきた宮崎（誠）さんに頼んで。ピアノとギターの音がちゃんと聴こえるようにしました。

──振り返ると、今回のシングルはステレオタイプな「夏」のイメージとはかけ離れた作品かもしれないですね。ヒリつくような暑さのなかで、物悲しいけど、すごく生きてる感じがするというか。いまのThe Super Ballにしかできない夏の表現だな、と。

陽吾　本当はタオルを回す曲を入れてみようとか、そのほうがラジオでかかりやすいかな、とか思いますけどね。でも、いま俺らが持ってるちからで最高のものを作ろうと思ったときに、何も無理せずにできた3曲なんです。まあ、タオルをまわすような曲も書いてはいるので(笑)。それは、またしかるべき時に出しましょうっていう感じです。冬とかに。

──あはは、攻めますね。

理幹　今回、いちばんよかったなと思うのは、リードがこういう曲だから、カップリングはアップテンポでいこうよ、みたいなことじゃなくて。届けたいもの、表現したいものを、心のままに作ることができたことなんです。きっとこれを続けていったら、ちゃんと自分たちらしい道が開けるだろうなって思えるような1枚になったなと思います。

いま表現したいものを全力で表現する｡
嘘をつかないライブにしたい｡

──わかりました。最後に7月20日には、メジャーデビュー3周年記念ライブ「SPB 3rd ANNIVERSARY LIVE」が開催されます。どんなライブになりそうですか？

陽吾　セットリストは大体決まってきてるんですけど、いわゆるシングルをやっていくっていうアニバーサリーライブっぽいことはしたくないなと思ってます。みんながドキッとするような瞬間を作れたらいいなと思いますね。

理幹　そうだね。3周年だから、シングルを全部やっていくっていうことよりも、いま表現したいものを全力で表現するっていうだけですね。それを突き詰めたほうが伝わるんじゃないかなと思ってるので。嘘をつかないライブにしたいと思います。

──まさに今日のインタビューで話してくれた心境が反映されたものになる、と。

理幹　はい、そういうことですね。