ライブ命じゃないんです。曲が命なんです。
■ちなみに、伸びるバンドって、わかります? 歌と演奏以外にも、態度とか雰囲気とかで。
どうだろう?態度とかではわからないですけど、やっぱり音楽ですね。ライブ力よりも、曲なんです。ライブがかっこいいバンドがいいバンド、というブッカーさんが多くて、それは間違ってないですけど、もちろんライブがかっこいいに越したことはないんですけど、私は完全に曲先です。ライブが良くても、曲が、家に帰って何回も聴けるものじゃないと響かないです。
■最近だと、誰の曲がいいですか。
最近は、ヒグチアイさんというシンガーソングライターが、すっごい好きです。本当に曲が良くて、ライブで聴くとさらに迫力があって。今もバンドものはさんざん見てるんですけど、好きなバンドがいて、それに影響されすぎな方が多く感じます。あとは、ライブを良くしよう良くしようという思いが勝ちすぎて、曲や歌がおざなりになっている方も多く感じますね。
■世代によって、大事にするポイントが違うんですかね。
そうかもしれない。ただ、若いバンドさんで、あまりにも歌が雑だなと思う時には、「もっと歌を丁寧に歌ってもいいんじゃない?」って、アドバイスすることはあります。ライブのアグレッシブさばかり出しすぎだよって。じゃないと、グッズは売れても、CDは売れないよって。
■それは、フェス文化の、弊害のひとつかもしれないと思ったりしますね。その場で“うける”ことを気にしすぎるというか。
手を上げさせたリ、踊らせることだけに一生懸命になっちゃってるな、という感じはしますね。押し付けるのは嫌だから、「もっと歌を丁寧にやってもいいんじゃない?」という言い方で、いつも終わらせてしまうんですけど。でも最近、テレビの歌番組に出ているような、たとえばback
numberさんも、バンドだけど“歌”じゃないですか。バンドではないけど、秦基博さんも、星野源さんも、歌として万人に受けているし、やっぱりそこだよなと。アグレッシブなライブをやる人は、フェスで受けますし、もちろんLOFTでもえらい盛り上がりますけど、そこだけじゃないんだよな、とか思いますね。
■ブッカーという仕事について、あらためて。興味があるという人には、どんな説明をしますか。
うちのブッカーは4~5人でいろんなジャンルを回しているのですが、それぞれのやり方があって、“LOFTのブッキングはこういうふうにやりなさい”というマニュアルがあるわけではないので。長年やってきた、それぞれの感覚で作っている感じですね。だから、ブッキングのやり方を教えてくださいと言われても、何をどう教えていいかがわからない。私もそういうふうに教えてもらってきてはいないので。普通に、いいなと思ったバンドに、マネージメントがついているところはマネージャーさんを通してお話させていただいたり、自分たちで廻してるバンドなら、ちゃんと足を運んで熱意を伝えたり、それが一番早いんじゃないかっていうぐらいしか言えないので。
■あとはそれぞれのやり方でいいと。
そうなんです。そういうところで、うちのブッカーは勝負してると思います。ほかのライブハウスさんに負けたくないという意識は、店長をはじめみんなにあるので。口に出しては言わないですけど、根底にはそれがあるので、各自の感性とつながりでやってますね。
■楽しいお話、ありがとうございました。最後に、今後の目標は何ですか。
今考えているのは、40周年が一段落して、45年、50年に向けてできることって何だろうな?ということと、ここに移転して20年が、2年後にやって来るので。私の人生の半分はここにいたので、移転20周年の時にはまた何か大きい仕掛けをできたらいいなって、ぼんやり思っていますね。それと、引き続き若いバンドを育てていくこと。出演者やお客さんの背中を押すようなブッキングをやっていきたいですね。
★新宿LOFT★
東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2
TEL:03-5272-0382
■LIVE FLOOR
・ライブ開演時間帯のみ入場できます(チケットある方のみ入場可)。
・ライブ時間:(1)18:00~22:00 (2)23:00~オールナイト
■BAR FLOOR「BAR THE LOFT」
・イベントがない日はパブスタイルでどなたでも入場できます。
・営業時間:23:00~4:00(※イベント内容により柔軟に対応)