点で終わるんじゃなくて、線にしたい。
一緒に成長したいと思っています。
■ブッキングの動機って、仕事とか使命感とかよりも、そういうバンドを“これいいでしょ、聴いて聴いて”という感じのほうが、強かったりします?
若い時はそういう衝動が一番大きかったんですけど、今は衝動半分、仕事半分ぐらいですかね。ただ“仕事だから”という気持ちが勝っちゃうと、できないので。自分の“いいね”が、多くの人の“いいね”になってほしい気持ちが根底にあります。たとえば若手のバンドで集客がないことなんて、いっぱいあるんですよ。でも、LOFTに立ちたい、きっかけをつかみたい、横のつながりを作りたいとか、いろんな動機で私を訪ねてくれているわけだから、やれる範囲のことでは応えてます。最初は7人しか入っていなくても、そこから500人、800人、1000人と増えていくバンドも見てきたので、これからもその様子を見ていきたいですね。
■今だけを見るのではなく、先のことを考えるといいますか。
新人育成とか発掘とか、アンテナを張るのは小屋にとってとても大事な事なので、そういうブッキングは今後もやっていきたいと思います。ただ、ほかのライブハウスのブッカーの人と私は、たぶん感覚が違うと思いますね。どっちかというと、発想がマネージメント寄りのブッカーだと思うんです。一回出て、点で終わるんじゃなくて、線にしたい。私の今までのキャリアや、見てきた目線で、アドバイスしながら、一緒に成長していければいいなと思いながらやっています。
■たとえば武道館に立ったバンドが、“始めた頃はお客さんが3人しかいなかった”とか、昔話をしたりしますよね。実際、そういうシーンを見てきてるわけですか。
フジファブリックもスキマスイッチも、全然そうでしたよ。今の時代で言うと、デビューしたBrian the Sunとか、大阪からせっせと通っていたけど、30人集まらないぐらいだったし。KANA-BOONもそうだったし、SAKANAMONもそうでした。CDを出していきなり変わるパターンもありますけど、それまでは本当に限られたお客さんに支えられていたという感じですよね。以前に「TEEN’S
MUSIC CAMP」という、ティーンズを対象としたイベントがあって、本当にただバンドが好きでやっているというレベルのバンドを、オリジナル曲という条件だけで出していたことがあるんですけど。そこに出ていて、売れっ子になっちゃったバンドもいますからね。当時は違うバンドですけど、SuchmosのYONCEくんやD.A.N.も、15の時に出会っていて、まだ高1でした。それが今やフジロックに出るとかすごいと思います。
■醍醐味ですね。ブッカーとしての。
Mrs.GREEN APPLEもそうだし、GLIM SPANKYもそう。Mrs.GREEN APPLEは、今や若い子のリーダーみたいな感じだし、すごいなと思いますね。まだ学生だったから、「気をつけて帰るんだよ~」って、手を振って見送ったのを覚えてます(笑)。いろんなタイプのバンドを見ることが出来るので、私はそれでバランスを取ってる感じですかね。ブッカーとして。