下北沢を拠点とし続けるその理由とは
■下北沢にはどういう流れからよく行くようになったのでしょうか?
渋谷とか新宿に買い物に行くようになって、その流れで吉祥寺とかも行ってたんですけど、それと同じように下北にも来るようになりましたね。たぶん下北は居酒屋が安かったり、人がそんなに多くないからのんびりできるみたいなものがあったのかもしれないですね。それで学生末期くらいからずっとこの辺りに住むようになりましたね。
■曽我部さんはもう長くこの辺りに住まれていますが、下北沢の魅力ってなんですか?
ちっちゃい街ということですね。でも小さいなかにも、ライブハウスとか中古レコード屋さんといった文化的で自分が好きなものがちゃんとある。それが居心地良いんですよね。駅前の喫茶店で待ち合わせみたいな世界が好きなので、駅前をのんびり歩けるというのも良いですね。それくらいの規模感が下北の魅力だと思います。浜田山とかでもいいんだけど、三茶まで行くとデカいかな?
■それで気に入って長く住まれているんですね。
知ってる飲み屋とか食べ物屋さんも多くなったし、他の街に越してもメリットないというのもありますね(笑)まあ「住めば都」と言うように、高円寺とかに住めばそれはそれで楽しんだろうけど。でも、下北沢に長く住んでいるからこそ、逆に高円寺に行ったりすると外国に来たみたいですごく楽しんですけどね。
■特別に「下北沢」というところにこだわっているわけではないと。
そうですね。下北沢という街にこだわっているというよりも、自分の住んでいる街にこだわって、仕事場もそこにあったらいいよねっていう感覚なんですよね。暮らしと仕事を分けない感じでやりたいなと思って、下北に事務所を構えたんです。
曽我部恵一が選ぶ音楽スポット in 下北沢
■ディスクユニオン下北沢店
ディスクユニオンのなかでも比較的大きいサイズのお店でジャンルも豊富ですね。同じく下北沢にある超老舗のフラッシュ・ディスク・ランチさんが代々続く寿司屋だとすると、こっちは築地市場みたいな感じ。中古盤、レコード、過去の音楽、そして今の音楽に対する世間の意識の流れがなんとなく見られるので、できるだけ毎日覗くようにしていますね。
■フラッシュ・ディスク・ランチ
もう何十年もやってきただけあって最高に良いレコード屋さんですね。意識も高いし、何でもあるし、値段も良心的だし。なんといってもマスターが濃いというのが良いですね。こういうレコード屋さんはずっとあって欲しいなと思います。
■茄子おやじ
東京来てすぐの頃からずっと、もう20年以上通っているカレー屋さんです。大好きなお店で、変わらなさがホッとしますね。いつも自分を原点に戻してくれる場所です。
■トロワ・シャンブル
これも東京に来たばかりの頃からずっと通っている喫茶店です。何も変わらないので、自分が東京に来た頃の感覚を思い出せるんですよね。街に出てコーヒーを飲みながら本を読むとか、そういう原点を。やっぱり長く通っているお店が自分にとって大切ですね。
■nikki
美容室です。ここも東京来たばっかりくらいから行ってますね。逆に言うと他を知らないんですけど(笑)当時と店名は変わったけど、昔は仲(真史)くんやカジくんも通ってました。
■THREE
下北沢には昔からのライブハウスもありますが、新しいライブハウスも色々できてて、THREEもそのうちのひとつです。スガナミくんという若い店長がやっているんですけど、彼がやっていることはすごいおもしろいなと思って見てますね。下北って黙っててもバンドがたくさん来るから、所謂「下北系」みたいな音楽でかたまりがちなんだけど、彼は多分それを良しとしていなくて、新しい音楽とか新しい空気を持ってこようとしていて、下北の小さいライブハウスから新しい波みたいなものを起こそうとしているんですよね。
■下北沢タウンホール
これはぶっちゃけあんまり教えたくないんですけど…(笑)ここの5階には人工芝がある屋上庭園があって、すごく気持ち良い場所なんですよ。誰も知らないので空いてるし、子どもたちと遊びに行ってお昼を食べたりとか良くしてますね。