あなたは、生きている。
姉が事故で死んだあの日以来、私たち家族はあからさまに支柱を失った。飾られた写真立ての中の彼女はあの頃のまま、いつだって天使のような笑顔だ。気がつけば私は彼女の歳を追い越してしまった。陰気なリビングには誰も集まらない。こんな時お姉ちゃんだったらどんな顔をするんだろう。どんな言葉でこの場を和ませてくれるのだろう。見果てた神のきまぐれなのか、歳下のお姉ちゃんが化けて出た。お姉ちゃん曰く、あの時からずっと我が家で地縛霊として居座っているらしい。残された人々と死んでしまった人との思いが繋がるお別れロスタイム。月シアが描くひと夏の奇跡。乞うご期待です。