INTERVIEW

VOICES FROM CLUB Que|偶然と必然がつないだ31年

出演者として関わり始め、今では館長として31周年を迎えたCLUB Que。 その歩みとこれからについて、二位さんにお話を伺いました。

肩書よりも、自分たちが楽しめることを

二位さんインタビュー写真

「店長から館長、統括…いろんな言い方がありますけど、最近はただ「二位さん」でいいかなと思っています。肩書よりも、僕ら自身が飽きずに楽しめることをやっていれば自然とお客さんに伝わる。そんな気持ちで続けていますね。若いスタッフにもチャンスを渡して、みんなで運営していきたいですね。」

地元ライブハウスに救われた経験が原点

二位さんインタビュー写真

「佐賀で過ごした学生時代のバンドシーンが大きいです。中学の同級生で10バンド以上あった記憶があるほど盛んで、ライブハウスの人に救われた経験もありました。口コミで広がる情報を頼りに、「知ったかぶり」でレコードを探す毎日(笑)。そうした中で、人が喜ぶことをしたいと思うようになりました。」

事故と偶然が重なり、たどり着いた下北沢

川瀬さん写真展の写真

「1985年から下北沢に住んでバンド活動をしていたんですが、オートバイ事故で半年入院。バンドが続けられない中、インクスティック芝浦や屋根裏で経験を積み、UK プロジェクトと関わるようになりました。そこでCDを作ったのをきっかけに「じゃあライブハウスをやろう」となったんです。各所で物件を探す中で偶然見つかったのが、今の場所。偶然の積み重ねでCLUB Queができました気がします。」

ワンオペでの配信システム構築にこだわった

Club Que店内写真

「コロナ禍は「実験のチャンス」と捉えました。ワンオペで配信をやり切ることにこだわって、ミキシングからカメラまで一人でやれるシステムを構築しました。結果として今も続けられる仕組みになったし、続ける中でやりたくても出来なかった事ができたと思います。」

コロナよりも、人間関係の難しさ

二位さんのインタビュー写真

「実は一番つらかったのはコロナ自体ではなく、それにより人間関係がギクシャクする事でした。緊急時にできることとして自分のビジョンはあっても、うまく伝わらずスタッフやバンドとの関係が悪くなることがある。結局、悩みの多くは人との関係にあるんです。スタッフは個性的で衝突もありますが、センスや技術を持ってぶつかってくる人はむしろ大切にしたい。そういう人と一緒に悩みながら進むのが、ライブハウスを続ける面白さだと思います。」

完成より、エネルギー

川瀬さんの写真作品

「売れそうだと思うアーティストと、自分の好みが一致するってことは比例しない。だからこそ「アイディアとセンスを持ってぶつかってくる人」が好き。完成されたバンドよりも、エネルギーを持って成長していく途中のアーティストに魅力を感じますね。」

ベテランと新世代、どちらにも刺激がある

二位さんおすすめアーティスト

「博多めんたいビートからのベテラン「アップビート」と、SNS活用が上手い若手バンド「ToyB」に注目しています。特にToyBは「ギターがかっこいい」と思える珍しい存在。音楽的にも新鮮な刺激をもらっています。」

速さと分かりやすさが魅力

川瀬さんのインタビュー写真

「分かりやすくて速いのがいいですね。ユーザーの要望に応えやすいシステムだと思います。ただ、誰でも使える間口の広さが逆にアマチュアっぽさにもつながることもあるので、プロフェッショナル感を出せる階層的な仕組みがあると嬉しいです。」

もう一度、映画を撮りたい

二位さんのインタビュー写真

「20年前に映画を作ったんですが、改めて挑戦したいです。当時は技術的に粗い部分も多かったので、今の感覚と技術で「集合ロック文化」を映像化したい。ステージとオートバイ、ミュージシャンを軸に、音楽のもつパワーを描けたらと思っています。」

偶然と必然が重なり合い、下北沢で31年を刻んできたCLUB Que。
“挑戦と成長の場であり続ける”

人間関係の葛藤や時代の変化に揺れながらも、CLUB Queは常にロックを面白がり、仲間とともに箱づくりを続けてきた。コロナ禍での実験やスタッフとの衝突 さえも、この場所を強くし、新しい挑戦へとつながっている。下北沢のカルチャーと交わりながら、これからも音楽と人を結びつける拠点であり続けるだろう。

Club Queの店内写真