高円寺Pundit 店主 奥野さんが語る、“語り”が生まれる夜と人がつながる場所
高円寺にあるトークイベントハウス「高円寺Pundit」。ジャンルや立場を越えて“語る人”が集まるこの場所で、店主・奥野さんが大切にしているのは「語ること」そのものの力。2023年には、新たな挑戦として“トーク×カルチャー”をさらに広げる2号店「Pundit2」もオープンした。街の変化とともに進化し続ける“語り場”の裏側を、奥野さんに聞いた。
トークをやりたい人が、安心して話せる場所をつくりたかった。
「もともと僕はライブハウスやイベント制作に関わっていたんですが、「語る」を中心にした場所が意外と少なかったんです。音楽でも芝居でもない、“話す”ことそのものを楽しめる空間をつくりたいと思って、高円寺にPunditを立ち上げました。最初は10坪くらいの小さなスペース。手作りでスタートしたのが2014年です。」
知識人でも、評論家でもない、“語る人”の象徴として
「「Pundit」って、インドの言葉で“賢人”とか“物知り”という意味なんです。 でも僕の中では“知識を持っている人”というより、“何かを語る人”の象徴。 誰かが何かを語り、誰かがそれを聞いてつながる――そういう場所にしたかったんです。」
鷹匠のトークで、会場に本物の鷹が来た夜
「鷹匠の方を招いたイベントがあったんです。実際に鷹を連れてきてくれて、会場の中を飛ぶ瞬間があった。みんな息をのんで、笑って、ちょっと怖がって…忘れられない空気でしたね。Punditは“こんな話、どこで聞けるの?”っていう企画が多いんです。」
お客さんの“知らない”を“面白い”に変える
「テーマがマニアックでも、話し方や構成次第でちゃんと届くんです。 出演者には「専門用語を避ける」よりも「自分の言葉で話してもらう」ことをお願いしています。 難しい話をやさしく、ではなく、リアルな話を面白く。そこがPunditの根っこですね。」
政治もサブカルも宗教も、全部“語る”でつながっている
「うちは音楽もやるし、宗教や陰謀論、性の話題まで、いろんなテーマが並びます。でもどれも“語る”という一点では同じ。ジャンルの壁を越えて、普段交わらない人が同じ場所で話すのが面白いんです。」
初めて来た人が、気づいたら常連になっている
「年齢も職業もバラバラです。学生から会社員、俳優や漫画家も来る。SNSで話題になって興味本位で来た人が、気づいたら何度も足を運ぶようになる。「何が起きるかわからないけど楽しい」って感覚を共有できるのが嬉しいですね。」
語りの場を、もっと自由に広げたかった
「コロナが落ち着いた頃、もう一度“場所の力”を試したくなったんです。2号店「Pundit2」は、映像配信や展示、DJイベントなどもできるように設計しました。新しい表現者や若い企画者が挑戦できる“もう一つのPundit”として育てています。」
普通と自由が混ざり合っている街
「高円寺って、誰がいても違和感がない街なんです。ライブハウスも古着屋も、政治の話をする喫茶店もある。何をやっても浮かないし、失敗しても笑って許される。そんな空気があるから、Punditも続けてこられたと思います。」
現場のスピードに合っている
「トークイベントって、開催決定から告知までが短いことが多いんです。LivePocketは販売開始が早くて、急な変更にも柔軟。現場のテンポに寄り添ってくれるツールだと思います。」
語りを通じて、人が前向きになれる場所に
「トークイベントって、ただ話すだけじゃなくて“救われる時間”でもあると思うんです。笑って、共感して、時には泣いて。そういう夜を積み重ねていけたらいいなと思っています。Pundit2も含めて、これからも“語る文化”を大切に育てていきたいですね。」
笑い、驚き、涙――そのすべてが語り合う夜にある
奥野さんがつくるのは、誰もが“語っていい”と思える場所。
高円寺から生まれるトークカルチャーは、今日もまた新しい会話を始めている。
